tanOSHI

たのしい?

【まんが】Tanoshi0329

 

◆「少年は荒野を目指す」吉野朔実

 

安易に既存の関係性に当てはめない、強靭なふたりのワールドに対して、子どものころから夢を見ているところがある、のですが。

 

他人からもそっくりとされる狩野と陸にまつわる、鮮やかすぎるストーリーテリング、むしろ綺麗すぎるくらい。

物語前半、狩野は自身の内なる不在の少年を辿りながら、ひた隠しにしてきた少女を発見するも、小説がかけなくなる(現実に身体を置けなくなる)。

物語後半、陸は自身のうちで不在へおしやっていた父の存在を認識しながら、自身の母(無償の愛を与えてくれる人)である鳥子が消えることで、他社への無関心の態度を壊される。

パズルのピースはそろい、お互いにとって完全な2人は、この世から逃亡を試みる。。。

 

描き方もこんな感じでかなりシンメトリーなんだけど、それぞれにとっての拠り所となる「楽園」の描き方もおもしろい。

たぶん、狩野にとっては日夏、陸とっては鳥子。

狩野は「楽園」を自ら否定して自発的に遠ざけようとするけど、陸は「楽園」が去るまで現実を直視できないのだ。

(母親から離れてくれる、都合のよい「親離れ」なんて現実ないと思うなーw

また、この日夏さんがすごいおいしいキャラ。自分の私利私欲のために動くようにみせながら(実際そうなんだろうけど)、

狩野と陸が、自分と向き合うきっかけを盛大に与えている。。この人がいないと物語が動かないよ、という。

 

狩野と陸が、自身のうちに押しやって、気づかないように、感じないようにしてきたものを乗り越えて

次の場所へとむかえるようになったとき、2人が交わす言葉は、どこか演劇的で、精神世界にいるみたいに見える。

いわゆる恋愛関係だったら、別れをこんな風に描けないだろう。

出会って自分が足から爪先まで入れ替わるような、人との別れ。

 

 

その他「カリフォルニア物語」でかわいいやんちゃな男の子にいやされ

バルパライソの長い坂を下る話」の戯曲で 南米と日本の島々、生きた骨と死んだ骨、海上で寝ることを想像し

禁じられた遊び」で「ミシェールミシェール」をやきつけられる。