tanOSHI

たのしい?

「バグダッド・カフェ 完全版」パーシー・アドロン

ジャケットビジュアル、何してるのかと思いきやお掃除してたのか...。当時大ヒットしたという”Calling you”は繰り返されるたび、ポジティブな響きを重ねていく。ほかBGMのちょっと間抜けた感じも、ここの暮らしがちょっと面白くなっていく予感を最初から持たせてくれる。


マリアンネ・ゼーゲブレヒト氏とCCHパウンダー氏、とてもキュートであります。水と油に見えたふたりがたのしんでいく様は、青春映画というか、もっと具体的に言えば、今日マチ子に出てくる少女を思い出しました。 個人が自立して決して溶けけ合わないが、2人の世界であることでその空間が満ちていく感覚。ジャスミンがドイツから帰ってきて、草っ原で2人が喋ってる場面はその感覚がピークだった。ブーメランの男はいつまでいるんじゃw


全編通して印象的な画面の色がどんどんギラついていくマジックの描写は、見ている間は半分おもしろ・半分疑問だったが、マジックを道具に、ゼーゲブレヒトバグダッドカフェの関係が公に開かれていたのは、あるのとないのと違うよね。(でも道具に見えちゃう、、) マジック業が盛り上がってきた頃、タトゥーのお姉ちゃんが出て行っちゃうのはすごいよかったな。カフェのファミリーが社会的に認められてきたとは言え、だからこそむしろ、「ファミリー」として近すぎることを実感して違和感が行動にでる視点だった。来るものあれば去るものあり。


ハナシとしては、ジャスミンというstrangerがバグダッドカフェという閉じた中継地点にやってきて、みんなの心境が変化するわかりやすい話だが、一貫していた個人の強さがとてもよろしかった。やすじくんがヨーロッパ人の撮ったアメリカとして「パリテキサス」を出していたが、「カフェ」のひとはみんな性格がカラッとしていてよかったねえ。ラストの「ブレンダに相談するわ」はバッチリだ。


*追記モノレビュー*


今回は新発売のブルーレイディスクにて鑑賞。頑丈なスチール使用の黄色ケースをあけてみると、ローゼンハイムのシール柄のディスクと、本編映画のような賑やかでキュートな色のブックレット。しかもケースの青は良く見ると光に反射してちらちらひかる。。かわいい...。ローゼンハイムシールそのものもついていて、これをつければなんだか幸運が訪れそう! ヤスミンにとってというか監督にとって、カリフォルニアのバグダッドは「ここでない憧れの地」であるはずだけど、ローゼンハイムも、十分、この映画の「ここでない地」であり、まぎれもなくローゼンハイムから幸せはやってきたのだ。「ローゼンハイム」...それが今では御守りの言葉のように感じる。
わたしはコレクション気質はほぼ0に近いので、DVDを集める経験や執着はあまりないが、モノへの楽しさがこんなに溢れてるDVDを見ると、パッケージも捨てたもんじゃないぜ。。!